歳寒三友 | 中国花卉画の画題で、松竹梅のこと 冬の寒さに耐えて松と竹は緑を保ち、梅は寒中に蕾を用意して他の植物に先駆けて花を開く。 そのようなところから松竹梅は世の逆境にあっても、固く節操を守る君子の精神の象徴とされ、文人画家の好んで取り上げる画題となりました。 |
彩色 | 美しい彩りを加えること 禅の思想がベースにある水墨画は、本来墨の濃淡で表現する絵画であり、彩色することは邪道と考える向きもありますが、南画や中国山水画には淡彩ながら彩色したものも多数あります。 近年は、彩色画も水墨画の1つとしてみる傾向が強くなっています。 |
先隈 さきぐま | 隈取技法のひとつ 筆の穂に水を含ませ、穂先だけに墨をつけて描く方法 先端が濃く、根元にいくにしたがって淡く墨がぼやけていく。穂先の墨の分量により、墨線に変化が生じる。隈取り法の中では、最もよく使用される技法 |
削用筆 | 線描きに使われる筆の1種 羊毛・イタチ毛などの弾力に富んだ細い毛でつくられています。 穂の腹の部分の上毛を削り取り、先が利くように工夫されています。 横山大観が最初につくったと言われています。力強い鋭い線に適しています。 |
三遠法 | 中国山水画の構図理論に基づいた図法。 高遠法・深遠法・平遠法の総称。 高遠法-山の下から山頂を仰ぎ見た構図形式 深遠法-山の谷間を通して後方をうかがう構図形式 平遠法-近くの山などの高い位置から遠山を望む構図形式 視点の位置によって異なる3つの構図形式を体系化したもの。 |
山水画 | 山岳、河川など自然風景を主題とする東洋画 人物画・花鳥画とともに東洋画の三大分野 |
詩意画 | 詩または詩句の意趣を主題にした絵画 |
四君子 | 中国および日本における花卉画の画題 蘭・竹・梅・菊を高潔な君子にたとえて描くこと。四君子には筆法・描法に基本的な要素が多く含まれるため、よく画題として使われています。 |
四睡図 | 道釈図の画題 豊干禅師と虎、寒山、拾得の四者が寄り添って睡る禅宗絵画 |
下絵 | 作品を描く前に、構図や配色を別の紙の上で準備構想したもの 主に日本画の制作過程で使用されます。 |
七福神 | 福徳をもたらす神として信仰される恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七神。水墨禅画では、布袋が画題として多く取り上げられています。 |
指頭画 | 指先や爪を筆代わりに用いて描く技法 |
紙本 | 書や絵を描くのに使う紙、またはそれを描いた作品 |
写実主義 | 対象をあるがままに、客観的現実を尊重して描こうとする芸術制作の態度または方法。 対象の細かな特徴まで正確に再現すること。リアリズム。 |
写生 | 東洋絵画においては、花鳥画などで対象を直接に描写することを言います。 写意(画家の主観表現)の反対語 |
十牛図 | 禅画の画題 禅の修行と悟りの過程を牛と牧童を主題とする10枚の絵と賛語によって表したもの。 |
潤筆法 | 水を多めに含ませた筆を使って、筆速を遅くすることで生じる墨章の妙味を表現する描法 特に南画系の画家がよく使います。 |
皴法 しゅんぽう | 東洋画独特の技法 山水画で山、岩、土坡などのひだを描いて立体感、質感、量感を表現します。 多種多様な描法が生み出され、芥子園画伝には、16種が掲げられています。 |
松煙墨 | 松材を不完全燃焼させてえられる煤(すす)を原料としてつくられる墨。 古墨になると墨色が変化し、青味を帯びるようになるものもあります。 |
瀟湘八景 しょうしょうはっけい | 山水画の画題 瀟水と湘水が合流して洞庭湖に注ぐあたりの景勝地より8つの地を選んだもの。 瀟湘夜雨・平沙落雁・烟寺晩鐘・山市晴嵐・江天暮雪・漁村夕照・洞庭秋月・遠浦帰帆を言います。牧谿や玉澗など画僧の作品が有名です。日本にも雪村・狩野永徳らの作品があります。 |
障屏画 しょうへいが | 障壁画と屏風絵の総称 襖絵、壁貼付絵を「障」で意味し、屏風絵、衝立絵を「屏」を意味しています。 |
白抜き法 | 紙の白さをいかして表現する技法 描く対象の周囲を墨で埋めていく方法で最もよく使われます。 ドーサ、牛乳、粉乳液を使用して白く残す部分を埋め、墨ではく方法などがあります。 最近では、墨メーカーの墨運堂が製造している「白抜き剤」を用いることが多いです。 |
皺紙画法 | 水墨画技法 あらかじめ細かな皺をつけた紙に描き込むことにより、筆による描法では得られない特殊な紋様を表現する方法。 主に樹皮や岩の表面の凹凸感を表現するのに用いられます。 |
心象風景 | 心に描く景色 実際の風景をそのまま描くことを避け、自分の胸に収めてから、イメージを膨らませて写す風景。 特に東洋画で尊重されたもので、水墨画を描く際の最も基本的な理念といわれています。 |
水暈墨章 すいうんぼくしょう | 墨をぼかすことにより、事物の形を表現すること 水墨画の語源とも言われています。 |
水干絵具 | 昔から使用されている粒子状の顔料 ニカワ水で溶いて使います。溶き方は、必要量を平皿にとり、中指を人差し指に重ねて絵の具の粒を指の腹で皿に擦り付けながら、ニカワが完全にいきわたるように練り合わせます。 一度に多量を混ぜ合わせると、粒子とニカワ水が分離してしまうので注意が必要です。 |
水墨画 | 墨描きの絵画 墨の濃淡、ぼかし、筆の抑揚などの表現のあるものをいいます。 中国で唐中期におこり、北宋頃に基礎が確立して発展してきました。 日本には鎌倉時代、禅宗とともに移入され、室町期に日本的水墨画が完成しました。 |
青墨 せいぼく | 青味の強い墨色の墨で、主に松煙の煤(石油・ナフタリン系の原料の場合もあり) 墨の青味は、寒色で作品全体を引き締め、清楚な情感をえる効果があります。 |
石印材 せきいんざい | 落款印を彫るときに使う石材 石のほかに、陶器・木・竹などがあります。 |
浙派 せっぱ | 中国・明代の画派で、浙江省出身の戴進タイシンを祖とする画家の一派 |
禅画 | 禅宗の教養内容や禅の精神を絵に託して表現したもの 比喩や象徴的な表現が用いられ、画題に達磨などがとりあげられる。 |
浅絳山水 せんごうさんすい | 山水画技法のひとつ 水墨画法で、岩石、樹木などを描き、白く残した部分に淡紅色で彩色して仕上げていきます。 絳は茜染めの意味ですが、一般的には岱赭を用います。 紅・朱色なども併用し、秋・冬の風景を描くときによく用います。 |
宋元画 | 中国の宋代から元代に描かれた絵画の総称 明清画に対する言葉として使われます。 |
双鉤法 そうこうほう | 筆の持ち方 親指・人差し指・中指で筆軸をもち、薬指を軽く添えて描く執筆法です。 これに対し、親指と人差し指だけでもつ執筆法を単鉤法といいます。 |
曽我派 | 中世から近世に起こった画派 |
側筆 | 筆を寝かせて筆の腹で線を引く運筆法 穂先が線の真ん中を通る直筆とは違い、側筆の穂先は線の外側を通ります。 寝かせた筆の角度や運筆の緩急を加減することで墨線に変化がうまれ、対象物の質感が表現できます。 |
外隈 そとぐま | 墨の濃淡を利用してぼかしを表す隈取りの技法 筆の片側に濃墨をつけ、その部分が内側になるように弧を描きます。 外側に向かってぼかしがうまれ、対象が際立つため、月の表現などに向いています。 |
たらし込み | にじみの効果を利用した没骨法の一種 墨や色を塗り、まだ乾かないうちに続けて濃淡の異なった墨や他の色をたらしてにじませる方法。 自然なにじみやムラが発生するので独特の効果をえられます。 |
双鉤法 そうこうほう | 筆の持ち方 親指と人差し指で筆を持ち、中指を軽くそえます。 筆軸をもつ位置は、大きな筆の場合は上の方、細い筆の場合は下の方を持ちます。 |
付立筆 | 水墨画を描く際に最も使われる筆 一筆で墨の濃淡が表現でき、線や面を簡単に描けます。 腰に適度な弾力があり、毛並みがよく揃ったもの、らさにどんな角度から描いても穂全体に復元力のあるものがよいとされています。 |
提腕法 | 筆の持ち方 筆をもった手を軽く机に押し当てて描きます。 小さい点や細かい字などを描く場合に便利ですが、水墨画を描くのに懸腕法が出来ればあまり必要な書き方ではありません。 |
添景物 | 点景物とも言います。 風景画や建築画などに添えて描かれた人物や動物などのこと。 絵の主題をより豊かにするために添える二義的な対象物を指します。山水画では、小さく描かれた人や動物の姿によって、絵に趣きや奥行が加わり、風景の大きさが強調されるなどの効果が生じます。 |
天井画 | 天井の装飾に描かれた絵画 |
点苔法 てんたいほう | 山水画の点法 岩や樹幹などに墨点を施し、苔や草木などを表現するために始められました。 南宋以降は、画面の調子を整えたり、画面に律動感を加えるために用いられるようになりました。 |
点法 | 樹葉、水草、竹などを点や点に近い短い筆触を用いて表すこと 岩、樹につく苔などを表すこともあります。 |
ドーサ | 東洋画の画材 ニカワを熱湯に溶かし、ミョウバンを加えて煮てからふきんで濾して、冷ました溶液。 紙や絵絹に墨や顔彩をにじまないようにしたり、定着させる効果があります。 にじませたくないとき、白抜きの効果をだしたい場合に効果的です。 |
透視遠近法 | 平面である紙の上に空間的な広がりと奥行をだすための構成法 |
道釈人物画 どうしゃくじんぶつが | 仏教や道教で説かれる神仏の姿や高僧の言行などに材をえた東洋画のこと 超自然的な題材が多く、一般の人物画とは区別して扱われます。 |
土佐派 | やまと絵の代表的な流派 |
※まだ未完成ですので、今後も随時追加していきます。