Q 水墨画作品の落款印はどこに入れたらよいのでしょうか?

落款は書画を制作した際に書く姓名・年月・雅号・詩文などのことで、そのときに押す印を落款印と言います。

落款は画を引き立てる役割を果たしますので、画より目立つことのないように画面の流れとは反対側に入れます。
但し、画に安定感をだすなど、この基本に当てはまらない例もあります。

また、描いた作品の大きさや絵柄によって印の大きさや形を変えるとよりよい作品になると思います。

Q 水墨画作品の落款印にはどのくらいの大きさが適当ですか?

印の大きさは決まっているわけではありませんが、画との調和が大切です。
作品の大きさに合わせて用意することをおすすめします。
以下の大きさを目安にしてください。

全紙8分~1寸角 2.4~3.0cm角
半切7分~8分角 2.1~2.4cm角
半切1/24分~5分角 1.2~1.5cm角
半切1/34分~5分角 1.2~1.5cm角
色紙3分~4分角 0.9~1.2cm角
短冊2分~3分角 0.6~0.9cm角
F20号6分~7分角 1.8~2.1cm角
F10号5分~6分角 1.5~1.8cm角
F6号4分~5分角 1.2~1.5cm角
F4号3分~4分角 0.9~1.2cm角

 

Q 描き終えた作品がたくさんあるのですが、どのように保管すればよいでしょうか?

まず作品にはシワがいかないようにします。
平らに保つか、丸めて筒で巻いたりします。
防虫剤を入れるとなお良く、日の当たらない湿気のないところで保管してください。
作品ごとに日時・場所が分かるようにすれば管理しやすいです。

Q ドーサ液はどうやって使うのですか?

ドーサ液は東洋画の画材で、絵の具や墨がにじまないようにしたり、紙に顔料を定着させるのに使われる溶剤です。
水墨画では、にじみの少ない乾いた表現をしたいときや、白抜きの効果をだしたいときに最適です。
ドーサ液でにじみ止めした紙は、線表現を主体とした絵柄に適しています。通常の紙であれば、ゆっくり描いたり、墨量
が多い場合にじみますが、ドーサで加工をしておけばにじみが広がることはありません。
重ね書きによる立体感の表現にも適しています。

 Q 水墨画にもデッサンやスケッチは必要ですか?

水墨画は、心象性の強い絵画であるといわれますが、現在では西洋画的技法も使われています。
水墨画においても、ものを描くということは、十分に対象物を理解しなければ描けません。
よって、水墨画にもデッサンやスケッチすることは有効です。

 Q 絹本で描くには何が必要ですか?

絹には紙とは違った特有の味わいがあります。
まず入手するには、水墨画を扱う専門店で求めてください。目的に応じて裁断して使用します。
絹に描くときは、木枠に張らなければいけません。
まず四隅を画鋲で固定→端から画鋲を外しながら、枠に絹を糊付け(糊はデンプンでも木工用ボンドでも可)→糊が十分に乾いたら、ドーサ液を塗る→既製のドーサ液は原液を4~5倍に薄める→乾燥したら再びドーサ液を重ね塗りする。これを2~3回繰り返します。
ドーサ液が濃すぎると、墨色がうまく出ませんので、注意が必要です。

 Q 作品に墨をこぼしたときはどうすればよいですか?

残念ですが、基本的にはボツにするしかありませんが、2点修正の可能性があります。

1.制作段階では、濃墨で上から図柄を書きこみます。画面全体のバランスが狂わないように注意が必要です。

2.表装職人さんに経緯を相談してみてください。

作品によっては、その部分をくり抜いて分からないように出来る場合があります。
その際は、描いていない同じ紙を持参してください。

Q 水墨画の作品に余白は必要ですか?

いかに余白を生かすかということは、水墨画の作品制作にとって必要な考え方です。

西洋画の水彩や油彩は、絵の具で塗りつぶすので、余白を残すのは、東洋画特有の構図のとり方といえます。
禅の世界では、余白を「無」「静」と説いています。
池大雅は、「日本画の中で最も難しいのは、描かないところである」と言っています。
水墨画の作品制作においては、余白をとることも計算に入れた上で、構図を考えるというのが、好ましい姿勢といえます。

Q 現代水墨画とは従来の水墨画とどう違いますか?

主に油彩や水彩の影響を受けて、写実的・幻想的・抽象的な作品が現代水墨画といわれています。


Q 水墨画で粉本主義とはどのような意味ですか?

粉本とは、胡粉(白色の絵の具)を使って描く絵の下描きのことです。
日本画では、手順として胡粉を使って下絵を描き、その上を墨で縁取ったといわれています。
模写するにあたり、より正確に転写するためには、上記のようなやり方が非常に有効であったようです。